ロバート・ローザー
Robert Roeser, PhD,
ペンシルバニア州立大学教授ケア・コンパッション・人間発達論
Department of Health and Human Development, Pennsylvania State University,
講演概要
人工知能(AI )は、とりわけ教育の新時代の到来を告げるものと言われています。他のテクノロジーの導入と同様に、この一連の新しいテクノロジーによって、教育にもいい面と好ましくない面がもたらされるでしょう。例えば、世界中の何億人もの生徒が、パワフルでパーソナライズされたAI家庭教師を使えるようになるかもしれません。同時に、AIを活用した教育システムを利用することで、生徒や家族はプライバシーの権利を大幅に失うかもしれません。もちろん、将来は不透明です。しかし、現時点ではこう問うのが賢明でしょう。「社会性と情緒はどのような役割を果たすのだろうか。 SEE ラーニング・プログラム、そしてそれを支える構成主義的教育実践は、学校における教育の新時代を形成する上で、どのような役割を果たすだろうか。また、今日の世界が直面する機会や課題に対処するために、どのような教育が適切であり、必要とされているのだろうか。」
本講演では、SEE ラーニング・プログラムが教室で育むことを目指すスキルやものの考え方、また、これらのスキルの学習を魅力的で長く続けられるものにするために必要な、より広範な教授法や授業実践のルーティンについて説明します。より深い分析レベルでは、観想教育アプローチを一般的に特徴づける、人間の本質に関する暗黙の前提となっている枠組みを説明します。観想教育アプローチは、今日顕著に見られるホモ・エコノミクス、つまり、人間は主に物質的な報酬や罰に関心があり、教育は主に仕事を得るためのものであるという見方を超えた、
人間についての代替的なビジョンについてお話します。 若者たちは、SEE ラーニングが育成するスキルと、SEEラーニング・プログラムを基礎とした教育実践によって、AIが到達できない人間の能力、すなわちチームワークと協調性、倫理的でコンパッションのある意思決定、創造的で批判的な思考、効果的なコミュニケーションを身につけることができるでしょう。最後には、観想教育アプローチに基づく今後の研究への提言を行います。